本記事の内容
・マーベルの解説本「マーベル映画究極批評」の内容をダイジェストでお届けします
「マーベル映画究極批評」も読めるU-NEXT
マーベル本おすすめ「マーベル映画究極批評」とは?
「マーベル映画究極批評」とは、てらさわホークさんによるマーベル映画の批評本です。
「アイアンマン」(2008)から「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019)までの映画を1本1本丁寧に解説したものです。
映画製作の裏側から、てらさわホークさんの鋭い感想まで、各作品ごとに書かれています。
「マーベル映画は全部見た!」という方で、よりマーベル映画について詳しくなりたい方に勧めです!
また、「マーベル映画は1個も見てない!」という方にもこの本を読めばマーベル映画を観たくなること必至です。
友達に教えたくなる小ネタ満載なので是非読んでみて下さい。
てらさわホークさんとは?
1973年生まれ、映画ライター。アメコミ映画を中心に「映画秘宝」(洋泉社)などに執筆。
著書に「シュワルツェネッガー主義」、共著に「アメコミ映画40年戦記」、「映画のディストピア」(寺沢孝秀名義)などがある(すべて洋泉社)
マーベル本おすすめ「マーベル映画究極批評」【読みどころ】
マーベル社について
・コミック収集ブームが去り1997年に破産
立て直しのため映画部門がメジャー各社と契約をまとめ「ブレイド」(1998)「X-MEN」(2000)「スパイダーマン」(2002)をヒットさせるも
経営難の時代に映画化権を叩き売っていたため売り上げは微々たるものだった
・マーベル独自の映画製作部門を作るためヒーローを担保に5億ドルの融資を受ける(事業計画が失敗に終わればヒーロー達は銀行の持ち物となる)
【事業計画書の制作予定作品】
「アントマン」
「ブラックパンサー」
「キャプテン・アメリカ」
「クローク&ダガー」
「ドクター・ストレンジ」
「ホークアイ」
「ニック・フューリー」
「パワー・パック」
「シャン・チ」
「アベンジャーズ」
「アイアンマン」(2008)
監督:ジョン・ファブロー
上映時間:126分
・事業計画書に「アイアンマン」の制作予定はなかった為、銀行から融資を受けた5億ドルは使えない状況だった
「アイアンマン」制作が急遽決まったのは、アイアンマンのフィギアが人気があったから
・ドラッグにより身を持ち崩した経験のあるロバート・ダウニーJrを監督のジョン・ファブローが推薦
リスクの高い人選だったが飄々とした人間像こそがトニー・スターク役にはまり、スタジオ側も認めた
・「アイアンマン」でのロバート・ダウニーJrのギャラは50万ドルという安い出演料だった(ちなみにインフィニティー・ウォーまでで総額2億4000万ドルもらっているので、それに比べるととても安い)
・「私がアイアンマンだ」はロバート・ダウニーJrのアドリブ
ヒーローは正体を隠すという伝統を捨て新しいドラマを作り出そうとするチャレンジが行われようとしていたため
プロヂューサーのケヴィン・ファイギもこのアドリブを採用することにした
当初「アイアンマン」の制作予定はなかった事が驚きです。せっかく受けた融資のお金を使えず、1番最初から窮地に追い込まれていたなんて知りませんでした。
「アイアンマン」の大ヒットに始まり、順風満帆に思われたマーベル映画ですが、裏側は全くそんな事は無かったようです。
そんな事はさておき「アイアンマン」が大ヒットした要素の一つにトニー・スタークのキャラクターにピッタリのロバート・ダウニーJr.を起用した事が挙げられると思います。
今までのヒーロー物は主人公がヒーローとしてのあり方に悩み苦悩し、作品全体に悲壮感が漂っている印象がありましたが、「アイアンマン」のトニー・スタークはいつもふざけた事を言っており、自信過剰な性格も手伝って作品全体に明るい印象があります。
そんな未だかつてないヒーロー像が無名の「アイアンマン」を大ヒットに導いたのだと思います。
この後に続くマーベル・シネマティック・ユニバースの事を考えると、トニー・スタークを演じたロバート・ダウニーJr.と彼を見出した監督のジョン・ファブローの功績は大変大きい物だと思います。
「インクレディブル・ハルク」(2008)
監督:ルイ・レテリエ
上映時間:112分
・2003年のアン・リー監督の「ハルク」との関係はリブートとシークェル(続編)との中間、リークェルという、よくわからない位置づけ
・エドワード・ノートンが脚本に口出しできることが出演する条件になっており
大幅に脚本が書き換えられた
・ユニバーサス・ピクチャーズが映画の配給権を持っており、マーベル・スタジオズは勝手に続編を作れない
・「ハルク」の興行成績はマーベル・シネマティック・ユニバースの中で最下位
エドワード・ノートンがそのままハルク役を続投していたら、これ以降の「アベンジャーズ」シリーズは全く違った雰囲気になっただろうなと、ついつい考えてしまいます。
「ハルク」単独の映画が作られないのはなんでだろうと疑問でしたが、配給権の問題と興行成績が低かった事が要因だとわかり納得です。
でも「ハルク」は怒ると変身するという、とても魅力的な設定のキャラクターなので単独映画でも十分楽しめると思うのですが、実績がなければ2作目は作れないというのがもどかしいです。
「アイアンマン2」(2010)
監督:ジョン・ファブロー
上映時間:125分
・2009年マーベル・スタジオズはウォルト・ディズニー・カンパニーに買収され超巨大映画産業の一翼を担うことになる
・ロバート・ダウニーJrのギャラは一作目の50万ドルから1000万ドルへ跳ね上がった
・ジェームズ・ローズ役のテレンス・ハワードはギャラ800万ドルの予定が100万ドルに減らされ交渉決裂の末降板
・サミュエル・L・ジャクソンも出演料でもめていた
・ミッキーロークも25万ドルのギャラの安さに不満を漏らした
・不十分な準備期間や納得できない作業環境の中で精神をすり減らした監督のジョン・ファブローは今作を持って降板を決めた
ジェームズ・ローズ役がテレンス・ハワードからドン・チードルに変わった理由がギャラによるものだとは知りませんでした。
今となってはドン・チードルがハマり役ですが、テレンス・ハワードのちょっと陽気なローズ中佐も引き続き観てみたかったです。
サミュエル・L・ジャクソンやミッキー・ロークもギャラに対して不満を持っていたという事でスタジオ側の出演者に対する配慮の薄さが垣間見えます。
また、監督のジョン・ファブローもスタジオからの無理難題を押し付けられ降板した事も残念です。ジョン・ファブロー監督版の「アイアンマン3」も観てみたかったです。
「マイティ・ソー」(2011)
監督:ケネス・ブラナー
上映時間:115分
・トム・ヒルズストンはもともとソー役でオーディションを受けていた
・マシュー・ボーン(キングスマンの監督)、ギレルモ・デル・トロ(ブレイド2の監督)との交渉をしたのち、ケネス・ブラナーに監督を依頼した
・マーベル・スタジオズは得意分野で活躍している監督を起用する傾向にある
・ソーはもともと可愛げのあるキャラクターなので、本作の最初と最後で成長が分かりにくいという欠点がある
当初はマシュー・ボーン監督とも交渉していたという事で、もしそのまま決まっていたら音楽を巧みに使ったスタイリッシュな映像になっていたかもしれません。
またギレルモ・デル・トロ監督だったならば独特なダークな感じと愛嬌のある世界観が広がっていたかもしれません。
どちらの監督もとても魅力的な演出をするので、是非とも見てみたかったです。
「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011)
監督:ジョー・ジョンストン
上映時間:124分
・「キャプテン・アメリカ」は1940年に誕生したキャラクター、迫害を逃れてきたユダヤ人難民をアメリカが受け入れ拒否をしたことにコミックで対抗するために作家のジョー・サイモンとジャック・カービーにより生み出された
・戦争が終わるとキャプテン・アメリカの人気は急速に落ち、姿を消した
・過ぎ去った時代への郷愁をテーマにしてきたジョー・ジョンストン監督は適任だった
・超人兵士血清はその人がもともと持つ特性を強化させるので善良な心の持ち主であるスティーブこそキャプテン・アメリカに適任
「キャプテン・アメリカ」は戦時中に誕生したコミックだったというのが驚きです。そんな戦時中にコミックの力を借り戦争に対抗しようとした作家の意気込みも凄いです。
戦争が終わると急激に人気が落ちて姿を消したというところは、映画の中のキャプテン・アメリカが戦争の無い現代で生きづらさを感じているところに通じて、あくまで戦時中のヒーローなんだなぁと感じます。
「アベンジャーズ」(2012)
監督:ジョス・ウェドン
上映時間:143分
・監督のジョス・ウェドンは「エイリアン4」の脚本も担当
到底無理な設定でも仕事を完遂する頼れる監督
・ラストのアクションシーンは30分とたっぷり用意されており、暗闇や細かいカットでごまかさずに明るくはっきりと描く姿勢に大絶賛
・9.11同時多発テロを彷彿とさせるニューヨーク決戦、このテロはファンタジーが現実社会の出来事に敗北した事件と言える
今までのヒーロー物の戦闘シーンは大抵暗闇での戦いだったり、カメラが素早く切り替わったりと少しごまかしがある物が多いですが、今作の「アベンジャーズ」はそんな事は一切なく、明るいところではっきりと描かれているという事が改めて分かりました。今までのヒーローが一堂に会する対策を綺麗にまとめられたのはジョス・ウェドン監督ならではだったと思います。
「アイアンマン3」(2013)
監督:シェーン・ブラック
上映時間:130分
・監督のシェーン・ブラックはトニー・スタークをアルコール依存で描こうとしたがスタジオ側から却下されアイアンマンスーツ依存という形で描くことにした
・「アイアンマン3」は監督のシェーン・ブラックの色が濃い作品であり、この時点でのマーベルスタジオズとしては珍しい作品
・当初はレベッカ・ホール演じるマヤ・ハンセンがラスボスの女性ヴィランになる予定だったが、女性ヴィランのおもちゃは売れないという理由でガイ・ピアーズがラスボスとなった
今回の「アイアンマン3」はシェーン・ブラック監督の色が濃く出た作品という事ですが、やはりスタジオ側からの要望がなくなる事はなく、当初予定の女性ヴィランが男性ヴィランに変更されたという事です。しかもその理由が女性ヴィランのおもちゃは売れないという、映画の内容には全く関係のない事でした。スタジオ側からこんな要望が続けば、監督側のストレスもそりゃ溜まるよなぁ〜と思わされます。
「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」(2014)
監督:アラン・テイラー
上映時間:112分
・監督を断ったケネス・ブラナーの次にオファーを受けたのはパティ・ジェンキンス(ワンダーウーマンの監督)だったがスタジオ側との方向性の違いで2か月で降板となる
・監督となるアラン・テイラー(ゲーム・オブ・スローンズの監督)はマーベル・スタジオズとの仕事は大きな苦痛を伴う経験だったとの事
・ナタリー・ポートマンはパティ・ジェンキンス降板によってモチベーションを下げ、マーベル作品から去った
なんと当初は「ワンダーウーマン」のパティ・ジェンキンス監督の予定だったというのが驚きです!もしそのまま撮影が進んでいたとすると、「ワンダーウーマン」並の大ヒット作になっていたかもしれません!
方向性の違いでの降板という事ですが、スタジオ側は時折重大な過ちを犯していると思わざるを得ません。
「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014)
監督:アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ
上映時間:136分
・スパイダーマンのベンおじさん、キャプテン・アメリカのバッキーは、けして生き返ってはいけないキャラクター
スーパーヒーローの成り立ちに深く関わる人物だからこそ一度死んだらし死にっぱなしだったが、2005年のコミック「キャプテン・アメリカVol.5」で実はバッキーが生きていたことが判明
・作中の「インサイト計画」は現実世界での国家安全保障局による全世界規模の監視計画と同じ、スーパーヒーローコミックで描かれる絵空事が実は現実世界の世相を愚直に反映している
バッキーが決して生き返ってはいけないキャラクターだったとは考えもしませんでした。
でも確かに言われてみれば、「スパイダーマン」のベンおじさんが生き返ってしまっては興醒めもいいところでそれ以降のストーリーに感情移入できなくなりそうです。
ですが原作を知らない人にしてみればバッキーが生き返ったとしてもそこまで違和感はなく受け入れられていると思います。
おそらくは初登場の「キャプテン・アメリカ」から再登場の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」までそこまで間が空いていないからではないかと考えます。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014)
監督:ジェームズ・ガン
上映時間:121分
・ジョス・ウェドン(アベンジャーズの監督)の推薦によりジェームズ・ガンが監督となる
落伍者達の奮闘劇を説得力を持たせて描けるのは彼しかいないとのこと
・グルートの声を演じたヴィン・ディーゼルは当時「ワイルド・スピード」シリーズで共演していた親友ポール・ウォーカーを亡くしたばかりだった、
その喪失感をグルートを演じることで埋めることができた
今回大抜擢のジェームズ・ガン監督はジョス・ウェドン監督の推薦によるものだと知り、ジョス・ウェドンはどこまでも良い仕事をするなぁと思わされます。
グルートの声を担当したヴィン・ディーゼルが喪失感を抱えながら演じていたとは知りませんでした。
そもそも「私はグルート」しかセリフがないキャラクターの配役にヴィン・ディーゼルを充てるとは思い切った人選だなと感心します。
「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(2015)
監督:ジョス・ウェドン
上映時間:141分
・全部盛りの超大作を完成させ、全世界で13億ドルの興収をたたき出したジョス・ウェドンだが、スタジオからの無理難題に疲弊し今後二度とマーベルと仕事をしないことを公言した
・スタジオとの軋轢の原因、ジョス・ウェドンが渋々従ったこと
「ソーが泉に入りインフィニティー・ストーンの幻影を見るシーンを入れること」
「エンドロール後にサノスが出てきてインフィニティー・ガントレットをはめるシーンを入れること」
いままで大変良い仕事をしていたジョス・ウェドンが今作を最後にマーベルを去ったというのは大変残念です。それほどスタジオ側からの無理難題が多かったんだなぁ〜と思わせます。
このすぐ後にDCコミックの「ジャスティス・リーグ」の監督を引き受けているのはマーベルへの当て付けかと思っちゃいます。
「アントマン」(2015)
監督:ペイトン・リード
上映時間:117分
・当初監督はエドガー・ライト(ショーン・オブ・ザ・デッドの監督)の予定だったが方向性の違いで降板、引き継いだペイトン・リード監督はわずか1年という短い期間で制作した
・本来は「アイアンマン」「インクレディブル・ハルク」と同時期に公開される予定だった
・ついにマーベルの映画創りに悪影響を与え続けていたCEOの排除が決まった
本来ならばマーベル映画の初期の段階で公開予定だったというのは知りませんでしたが言われてみればとても納得です。
「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」の後に観ると多少物足りなさを感じますが、マーベル映画シリーズの初期であれば、ちょうど良い規模に感じます。
ですが本編全体に流れるコメディ感はいつ観ても笑えます。
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016)
監督:アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ
上映時間:148分
・これまでの悪役とは違い、特殊能力を持たない新しい形のヴィランの登場
・よく知る者同士の仲違いを見て、こちらも傷つくという、観客の私たちが登場人物達と一緒に生きている状況が起きている
確かに「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」を観た後はどこにもぶつけられないやるせなさを感じました。
これは確かに観客の私達が登場人物と一緒に生きていると言っても過言ではないかもしれません。
「一体誰が悪いんだぁ〜!」と心の中で叫んでいました。
「ドクター・ストレンジ」(2017)
監督:スコット・デリクソン
上映時間:115分
・80年代にはウェス・クレイブン(エルム街の悪夢の監督)やギレルモ・デル・トロ(ブレイド2の監督)が映画化に興味を持っていた
・アーク・アンドリュース(メリダとおそろしの森の監督)、ニコライ・アーセル(ダーク・タワーの監督)も監督候補として上がっていた
・スコット・デリクソンは劇中病院で繰り広げられるアクション場面のサンプル映像を自費で作りアピールすることで監督の座を得た
・アイアンマンやソーのように平気な顔して敵を倒すのではなく、あくまで医者として人の命を奪う事は耐え難いという新しいヒーロー像を作り出そうとしている
・原作ではアジア系の老人として描かれていたエイシェント・ワンを白人のティルダ・スウィントンに配役したのは人種の多様性を否定するものではなく、逆にステレオタイプの東洋人として描かれた定型からどう離れるかを模索した結果
80年代にはギレルモ・デル・トロ監督が映画化に興味を持っていたという事で、また違ったテイストの「ドクター・ストレンジ」も観てみたかったです。
今作の監督スコット・デリクソンも監督を勝ち取るためにもう猛アピールをしていた事を知り、思い入れのある作品なんだと知りました。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/リミックス」(2017)
監督:ジェームズ・ガン
上映時間:136分
・ジェームズ・ガン監督がSNS上に残した不適切な発言で「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3」の監督から解雇された
・その9ヶ月後、ディズニー側と謝罪を含めた話し合いの末、ジェームズ・ガン監督の再雇用が決定
・失敗から立ち上がるヒーローというテーマを地で行く事になった
ジェームズ・ガン監督が一度は解雇されていたとは知りませんでした。「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」と言えばジェームズ・ガン監督なので変わりはきかないと思います。
何はともあれ続投が決まって一安心です。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3」大変楽しみです!
「スパイダーマン/ホームカミング」(2017)
監督:ジョン・ワッツ
上映時間:133分
・利益が減るばかりだったため「アメイジング・スパイダーマン」は第2作で終了となった
・ソニーには5年に1度スパイダーマン映画を作らなければいけない理由があった
そうしなければ映画化権をマーベルに返却しなければ行けなかったから
・出演当時の俳優の年齢
トビー・マグワイヤ 27歳
アンドリュー・ガーフィールド 29歳
トム・ホランド 21歳
高校生役が今までで1番説得力のあるトム・ホランド
確かに今までのスパイダーマン俳優の中でダントツで幼さが強調されたトム・ホランド版の本作、幼すぎて観ているこっちが心配になるぐらいです。
他のアベンジャーズメンバーと比べるとスパイダーマンというヒーローはまだまだ子供で未熟なヒーローなんだと改めて気付かされます。
その点が強調されているのが他のスパイダーマンシリーズとは決定的に違うところだなと感じます。
「マイティ・ソー/バトルロイヤル」(2017)
監督:タイカ・ワイティティ
上映時間:131分
・「マイティ・ソー/バトルロイヤル」はシリーズ内のリブート的作品
・タイカ・ワイティティ監督は1.8億ドルの大予算とクリエィティブ上の自由を保障され監督を引き受けた
・全編の約8割の演出や演技は即興で行われた
・マーベル作品で最初の有色人種の監督
・今までの作品の繋がりや原作との整合性への必要なまでのこだわりを捨て、個々の作品をより深いものにしようとする姿勢はフェイズ2の頃には考えらなかった
このころになればスタジオからの監督への要望も減り、だいぶ自由に作品を撮れるようになったのでしょう。
全編の約8割が即興の演技だというのは驚きです。それを踏まえて改めて観たいと思わせます。
「ブラックパンサー」(2018)
監督:ライアン・クーグラー
上映時間:135分
・マーベル映画史上最大のヒット
「ブラック・パンサー」
北米での興行収入7億ドル
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
全米での興行収入6億7800万ドル
・コミック原作の映画として初めてアカデミー作品賞にノミネートされた
・暗闇で繰り広げられるCGキャラクターの格闘シーンは残念
・「国境に壁を作るのではなく、世界の貧しい者達に手を差し伸べ、富を分かち合うべきだ」というトランプ政権を直接的に批判するメッセージが込められている
・大ヒットの理由は初めてのアフリカ系監督による、アフリカ系スターを集めた、アフリカ系スーパーヒーローの映画だったから
コミック原作の映画として初めてのアカデミー作品賞にノミネートされた作品というのは大快挙です!
これはやはり映画としても初のアフリカ系監督によるアフリカ系スターを集めたアフリカ系スーパーヒーローの映画だという事があるのでしょうが、現代に至るまでこのような作品が作られていなかったという事が驚きです。
アフリカ系のヒーローがもっと誕生する事を期待します。
またトランプ政権を直接的に批判しているところも思い切っています。
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018)
監督:アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ
上映時間:149分
・あまりにも登場人物が多く収集がつかなくなるのを避けるため、あえて悪役のサノスを主人公の物語にした
・サノスはマルサス主義者
初めて「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」を観た時、「まるでサノスが主人公の映画だ」と思ったものですが、実際のところ脚本の時点でサノスが主人公として描かれていたとはとても納得です。
確かに今回は登場人物が多すぎて各キャラクターにスポットを当てていたら収集がつかなくなる事は必至だと思います。
「アントマン&ワスプ」(2018)
監督:ペイトン・リード
上映時間:118分
・物語上、わかりやすいスーパーヴィランが登場しないという新しい試み
・「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の後で他愛もないコメディが展開されるのがありがたい
まさしく、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の悲劇的な終わり方の後で、かなり肩透かしなコメディタッチな今作はありがたいものですが、マーベル・シネマティック・ユニバースの中で一体どう繋がるのか疑問ではありましたが、最後の最後にしっかり関わってくれたので、その点では一安心です。
「キャプテン・マーベル」(2019)
監督:アンナ・ボーデン&ライアン・フレック
上映時間:124分
・設立から10年を経て、ついに女性ヒーローの単独映画が誕生
しかしDCの「ワンダーウーマン」からは2年後という明確にDCに遅れをとった形になった
・女性ヒーローについて前向きな考えを持っていなかったCEOを説得するのは大変だったろうと推測される
・バターナリズム(父権制)を明確に突破する事に新しさと素晴らしさがある
完全にDCコミックに遅れをとった形となった「キャプテン・マーベル」
もっと早い段階で映画化されていれば目新しさもあり女性ヒーロー主演映画というハードルはぐんと下がったと思うと残念です。
でも「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の後に公開された事で絶望的な展開に光が刺したのは確かです。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019 )
監督:アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ
上映時間:181分
・マーベル・スタジオズは内容について秘密主義を貫く
本編には使用しないフェイクの脚本まで用意するという
・マーベル・スタジオズの映画は作品というより商品と揶揄する声もあるが、途方もなく金のかかった商品である事は間違いない
・ディズニーによる20世紀フォックスの買収が完了し、「X-MEN」や「ファンタスティック・フォー」がマーベル・シネマティック・ユニバースへの合流が確定的に
・「アイアンマン」以前には誰も想像出来なかった作品と作品の果てしない連なりから作られる宇宙が広がっている
今回ご紹介する「マーベル映画究極批評」は「アベンジャーズ/エンドゲーム」公開前に出版されているのでエンドゲームの批評は入っていません。
しかしエンドゲーム以降のマーベル・シネマティック・ユニバースの展望を語ってくれています。
特にディズニーによる20世紀フォックスの買収が完了した事によるさらなるクロスオーバーが実現すると言及しています。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」での完結を思うと、もうこれ以上の大作は生まれないのではないかと思っていましたが、「X-MEN」が合流する事を想像すると、これからの10年もワクワクが止まりません。
マーベル本おすすめ「マーベル映画究極批評」【まとめ】
「マーベル映画究極批評」は「アイアンマン」〜「キャプテン・マーベル」までの21作品を一つ一つ批評しています。
撮影の裏側や監督さんの不満、寺沢ホークさんによる痛烈な評価が盛り沢山です。
すでに全ての作品を観ている方は、各作品のうんちくを知ることができ、改めてもう一度見返したくなります。
まだマーベル映画を観たことがないという方は、本書を読むと各作品の制作までの成り立ちがわかりますので、本編を観たくなる事必至です。
マーベル・シネマティック・ユニバースに興味がある方にも無い方にもオススメの一冊です。
本書を読めば全世界興行収入No.1(2020年時点)の理由が分かります。
映画好きのあなたに是非読んでいただきたいです。